最低賃金1,000円超時代到来!――63円アップを乗り切る中小企業の4大アクション
2025年度の最低賃金の目安が8月4日に示されました。中央最低賃金審議会の答申によれば、全国加重平均は時給1,118円、前年度比+63円(+6.0%)。引き上げ額は過去最大で、ついに全47都道府県が1,000円台に乗る見込みです。
今回の特徴は、地域格差是正を目的にCランク(青森・鹿児島など13県)の引上げ幅が64円と、A・Bランクを1円上回った点です。最高額の東京は1,226円と初めて1,200円台に、最低額県でも1,015円前後まで達します。
適用時期は各地方審議会で決まりますが、例年通り10月上旬から11月上旬にかけ順次発効する見通しです。発効日が公示され次第、シフト組み・給与計算ソフトの更新をお忘れなく。
中小企業が取るべき4つのアクション
- 原価への転嫁を急ぐ
仕入れ・外注費の高騰分だけでなく「人件費相当」を明示した値上げ交渉が有効です。昨年度の価格交渉実施率は約9割に上昇しており、交渉の土台は整いつつあります。 - 業務改善助成金の活用
従業員300人以下なら、時給30円以上の引上げと生産性向上投資をセットで国が最大600万円補助。設備更新・IT導入を検討中なら同時申請が賢明です。 - 人時生産性の見える化
「売上÷総労働時間」で算出し、時給1,118円でも利益が残るラインを把握。非効率工程はタスク自動化や外注で圧縮し、残業抑制と両輪で吸収します。 - 賃金テーブルの再設計
最低賃金付近だけを底上げすると職務間バランスが崩れます。等級基準や役割給を見直し、評価制度とセットで早めに社内周知を。
今回の63円アップは名目では昨年の+51円を大きく上回りますが、物価も3〜4%台で上昇中。「コスト」で終わらせず、優秀な人材確保・サービス品質向上につながる“先行投資”と捉えましょう。発効まで残り2か月――値決めと生産性改革を同時に進め、賃上げを競争力へと転換する好機です。
※参考情報
厚生労働省「地域別最低賃金の全国一覧」
厚生労働省 2025年8月4日付プレスリリース「地域別最低賃金額改定の目安について」
厚労省「業務改善助成金 リーフレット」
NHKニュース 最低賃金 過去最大63円引き上げへ 全都道府県で1000円超に