2023年の企業倒産、前年比33.3%増 増加率はバブル崩壊後で最大

 帝国データバンクの全国企業倒産集計2023年報によると、2023年の企業倒産は8497件に達し、前年(6376件)を2121件上回った。2年連続で前年を上回り、2015年(8517件)以来8年ぶりの水準となった。  

 コロナ支援策の縮小に加え、物価高や人手不足等によるコスト増に耐え切れなくなった中小企業の倒産が急増した。前年からの増加率(33.3%)は、バブル崩壊後で最も高くなった。月別推移をみても、2022年5月から20カ月連続で前年同月を上回った。とくに12月(806件)は2023年で最多となり、中小・零細企業を中心に年後半にかけて増加基調を強めた。

 2024年の企業倒産も増加局面が続くとみられる。とくに年度初めとなる「4月」以降にさらに加速する可能性がありそうだ。すでに深刻な人手不足と人件費高騰に直面する建設業や運輸業を中心に「時間外労働の上限規制」が4月から適用され、「2024年問題」の影響が本格化する。また、実質無利子・無担保融資(ゼロゼロ融資)の返済開始を迫られる企業が昨年7月に続き、4月に最後のピークを迎える。返済負担に耐えかねて、年度末前後の節目に事業継続をあきらめる経営者がさらに増える可能性がある。

 金融庁による金融機関向けの監督指針も今春に改定される。金融機関は資金繰り支援からの転換が求められるなかで、従来のような安易な返済条件の変更(リスケ)や借り換えに応じることは難しくなりそうだ。とくにリスケはコロナ禍以降、企業からの要請に対して金融機関は原則応じてきたが、融資先の「選別」が進むことで4月以降、金融機関が返済条件の変更に応じる比率が下がる可能性も十分ある。

 「金利のある世界」に向けて、日銀が4月にもマイナス金利解除に動くとの見方も根強い。今後、ゼロ金利・利上げに進めば、新たな借り入れに苦慮する企業が増えることも考えられる。ゼロゼロ融資で膨らんだ過剰債務の返済もままならず、物価高や賃上げ等によるコスト増に苦しむ中小・零細企業にとっては死活問題となりかねない。

 帝国データバンクが2022年12月に発表した調査では、借入金の利払い負担を事業利益で賄えない『ゾンビ企業』は、2021年度で推定18万8000社を数える。倒産予備軍ともいえるゾンビ企業の数は、足元でさらに増加している可能性が高く、その動向は潜在的なリスク要因のひとつとして注視していく必要がある。

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