2024年度の全国の企業倒産件数が1万件突破
2024年度の全国の企業倒産件数が11年ぶりに1万件を超えた。求人難や人件費高騰による人手不足倒産は前年度比で6割増え、過去最多となった。物価高による仕入れ価格上昇も中小経営を圧迫する。
東京商工リサーチは8日、24年度の全国企業倒産(負債額1000万円以上)が前年度比12%増の1万144件だったと発表した。東日本大震災の影響が残った13年度以来の1万件台となった。

中小・零細企業の倒産が多く、従業員5人未満が7702件と76%を占めた。負債総額は4%減の2兆3738億円だった。人手不足を主因とする倒産は23年度比で6割増加し、309件と過去最多となった。
人件費の割合が高いサービス業の倒産は12%増の3398件と集計をさかのぼれる1989年度以降で最多だ。

日銀が1日に発表した3月の全国企業短期経済観測調査(短観)によると、人員が「過剰」から「不足」を引いた雇用人員判断指数(DI)は全規模全産業でマイナス37だった。
約33年半ぶりの人手不足水準にあるが、経済全体への悪影響は少ないとの見方もある。あるエコノミストは「生産性の高い企業へと労働が移動すれば、結果として経済全体の生産性が高まるのではないか」と分析する。
物価高による倒産も24年度に2%増の700件と過去最多だった。東京商工リサーチの担当課長は「業績不振の企業は物価高や人手不足といった複合的な理由が重なる環境に置かれ、倒産件数を押し上げた」と話す。
足元では貸出金利が徐々に上昇している。日銀によると、2月の国内銀行の貸出約定平均金利(ストック、総合)は0.997%と1%に迫っている。利払い費の負担増も中小企業の経営を直撃する。
米トランプ政権の関税政策が、サプライチェーン(供給網)を構成する中小・零細企業の経営を圧迫するリスクも高まっている。過剰債務を抱えて収益回復が遅れる企業は事業再構築を迫られる可能性がある。
(日経新聞 4月8日の記事から引用)